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ドイツで鍼灸治療を受けるには

Bild von keskieve auf Pixabay
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ハリ治療とはドイツ語でアクプンクトゥアー(Akupunktur)といいます。

お灸のことは、モクサ(Moxa, Moxibustion)といいます。

 

ドイツで生活をしていると、Akupunkturという言葉、意外と耳にする治療法ではないでしょうか。整形外科で肩の痛みにハリ治療が施されたり、耳鼻科の先生が花粉症対策にハリ治療を提供していたり、助産師さんが妊婦さんの安産のためにハリを打ってくれたりと、ドイツに生活していると現代西洋医学にハリ治療が補足的に取り入れられていることがあります。また一方で、ハリや東洋医学といった代替医療を専門的に提供する職業もあります。それをハイルプラクティカー(自然療法士)といい、ドイツならではの職業です。先進国ドイツに住む私達は、現代医学の最先端の技術を受けられる恵まれた立場にありつつ、患者として代替医療を受ける選択肢もあります。治療を受ける側に選択の自由があるということです。補完(相補)代替医療という言葉がうまく言い表しているように、どちらか一つではなく、西洋医学を基本としつつも、代替医療の良いところも認めて補足として利用することで、治療の可能性がひろがり、身体、心理そして精神といった面から全体を観るバランスの取れた医療を目指すことができます。

さて、ドイツに居ながらにしてハリ治療を受けたい場合、どうしたらよいでしょうか。以下にポイントをまとめましたので、ご参考ください。

 

1.            ハリ治療を提供しているのは誰? ドイツでは医師およびハイルプラクティカーのみがハリ治療を行うことを法律で許されています。ただし、助産師も妊婦の出産・産後をサポートする場合に認められています。いずれも、ハリ治療を提供するための訓練と講習を受けている施術者である必要があります。

 

2.            治療には予約が必要?医師が通常の治療に加えてハリ治療を提供している場合は、事前にいつ対応可能か問い合わせたほうが良いでしょう。ハイルプラクティカーの場合も、予約制をとっているところがほとんどです。また他の治療法も提供している場合がありますので、事前にハリ治療を希望している旨を伝えて予約するとスムーズです。助産師の場合は、妊娠が順調であることと、一定の妊娠期間を過ぎてからといった様な制限がありますので、担当の産婦人科医に確認をとることも大切です。

 

3.            治療費用は保険適用になる?基本的にハリ治療は公的健康保険ではカバーされず、自己負担となります。しかしながら、一定の条件を満たすと、特定の医師によるハリ治療が適用となるケースがあります。例えば、6か月以上続く慢性の腰の痛み、もしくは関節症からくるひざの痛みに関して、保険会社が認定している医師からハリ治療を受ける場合、6週間以内の期間で、10回までの治療が保険の適用となることがあります。詳細は、ご自分の保険会社に事前に確認をとることをお勧めします。プライベート保険の場合は、一部もしくは全額適用となることもありますが、こちらも保険会社との契約内容により様々です。

 

4.            治療費用は?治療費は医師とハイルプラクティカーでは、診療報酬制度が違いますので、一概には言えません。特にハイルプラクティカーの場合は、治療時間の長さや治療内容などにもよりますので、事前に費用の目安を確認したり、予算と治療期間を共に話し合うなど、その後の治療に専念するためにも始めに明確にすることをお勧めします。

 

5.            医師とハイルプラクティカーの違いは?ハリ治療は、中国伝統医学を基にした治療法で、WHOでもその適応症が検討され、経穴も361部位に定められるなど、世界的に標準化が進んでいます。そのため、源は同じであるものの、どの疾患にたいしてどの経穴にハリを刺すか、いつどのようにといった具体的な判断は、術者の判断と経験にゆだねられているといえます。例えばハイルプラクティカーは、患者さんとの診察に時間をかけ、その人の全体像を診るという立場が多く、また治療期間も中長期にわたる傾向があるといえます。その分、根本的な改善や、免疫力の向上、心身のバランスを目的としているといえます。

 

6.            お灸を受けるには?ドイツでもお灸を治療法として提供している施術者もいます。はり治療を行う人は、お灸の知識も持ち合わせていることが多いですが、かならずしも提供しているわけではないので、ウェブサイトで確認する必要があります。治療院によっては、設備上、煙のあるものを使用できないという事情もあります。そのため、お灸をしてくれる治療院が近くに見つからない場合は、ツボの位置や回数などを専門家にアドバイスをもらい、自宅でお灸をすることも一案です。お灸の煙は心を落ち着かえせ、体を温めてくれるため、ハリ治療と並行して取り入れられると理想です。

 

ドイツにいながら鍼灸治療を受けることは難しくありません。また現代医学に補完するという立場で様々な症状に鍼灸治療は活用されています。特に近年では、がんの患者さんが訴える副作用に対し、ハリ治療の有効性が認められるなど、その活用範囲は広がってきています。身体的な痛みや苦痛以外にも、不眠、不安、焦燥感、いらいら、ストレスなど精神面でも、ハリ治療はよきサポートとなります。心身のバランスをととのえ、滞りを解消し、気血水の流れを促すことを目的とする中国伝統医療の鍼灸をぜひ一度試してはいかがでしょうか。

 

デュッセルドルフのハリ治療院

ハイルプラクティカー(ドイツ自然療法士)島部ストラスナーアキ

Heilpraktikerin Aki Shimabe-Strassner

www.shimabe.de