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はり治療と美容

Quelle:Pixabay.
Quelle:Pixabay.

 

朝おきて、鏡をみると、瞼が重い、くまがある、顔がむくんでいる、もしくは吹き出物ができている、なんてことはありませんか。一日のスタートなのに、すこし気落ちしてしまう瞬間です。

先日、私がデュッセルドルフではり治療をしているという話を日本人の方にしたところ、顔にするはりに興味を持たれている方が何人かおられました。顔、つまり美容のためのはり、いわゆる美容鍼のことです。むくみ、くすみ、しわ、たるみといった状態に対して、はりの刺激で血流や自律神経、表情筋などに働きかけ、顔や肌の印象をよくするという目的です。

顔の美容というのは古今東西、老若男女を問わず、関心の高いテーマですね。

現代人は、毎日鏡で顔をみることが多いと思います。朝の洗顔の際、トイレで手を洗う時、夜に歯を磨く時、といったように、顔を一日のうち何度も鏡でみることになります。そうすることで、髪型を整えたり、メイクはくずれていないかなどチェックしていますね。ところが、体全体はどうでしょうか。全身を鏡でみるということは、きわめて少ないのではないでしょうか。もちろん、出かけ前にチェックするとか、街のショーウィンドウで確認するといったことはあるでしょうが、顔に比べると断然関心が低いといえます。

また面白いことに、Zoomなどでオンラインでやりとりしている相手に実際あったとき、イメージと違うと思ったことはありませんか。その人の体の大きさや、姿勢、身振りなど、画面では見えなかった部分、つまり全体像が見えることで、印象が変わってくるのです。

ひとは常に自分の顔を気にしているものの、他人はその人の顔だけでなく、体もふくめて全体像を見ている。もちろん、顔に重点が置かれているのは当然ですが、顔と体がつながってその人をなしている、ということを今一度強調したいのです。

話をはり治療に戻すと、私の治療院では、美容鍼という名目ではりを扱っていません。顔が最近疲れている、むくんでいる、肌荒れがあるなどの場合は、まず患者様の体全体の状態にまず注目します。睡眠は十分であるか、便秘や下痢などの問題はないか、足腰の冷え、痛み、肩こりや首周りの問題、食生活、そして最近の気分、メンタル面の調子なども含めて様々な質問をします。そうすることで、できるだけ多くの患者さんの全体像をつかむよう情報収集するのです。それを中医学では、問診といいます。加えて、望診(見た目、舌の状態を見る)、切診(脈を診たり、体に触れる)、聞診(声や音をきく)といったプロセスを経て総合的な診断をします。それに基づき、はり治療をおこないます。

つまり、顔のむくみを例にとると、なぜ顔がむくむのか、顔や首当たりに滞る原因があるのか、もしくは体のどこかで水分代謝が問題となっているのか、といったように、原因はどこにあるかをいろいろな角度から質問や観察をとおして探していく長いプロセスです。今すぐ劇的に変化するというのではなく、時間はかかるものの問題のある場所を探しだし、あるべき状態へと調整していくという姿勢です。そうすることで、これから先も長くよい状態が続くようにするのが目的です。

中医学では気と血を大切にします。気が力強く血を全身に巡らせることで、顔色、肌の艶、髪質といったところへ良い影響を与えると考えられています。歳を重ねることで衰えていく部分はありますが、年相応に元気にいられることが、その人の健康的な美しさといえるのではないでしょうか。

 

ドイツ自然療法士 ストラスナーアキ

Akupunktur in Düsseldorf

Heilpraktikerin Aki Strassner

 

 

デュッセルドルフの鍼治療院では、中医学に基づき、患者様の状態を、問診でいろいろなポイントからお伺いし、また舌診、脈診などの診断法をもちいて総合的に判断をしたのち、治療を始めます。初診の場合は1時間から1時間半、それ以降の治療は45分から1時間ほどになります。予約制となっておりますので、まずはメールにてお問合せください。